近況報告 『周礼』冬官の定める武器の長さ

はじめに

今回は、御絵描きと妄想
回で御座います。

目下、「盧人為盧器」の部分を
読んでまして。

因みに、「盧」は矛や戟の
要は、武器の性質の話です。

1、図解について

それでは、

描き上げて間もない
アレな図解で
御目を汚させて頂きます。

『周礼』(維基文庫)、楊泓『中国古兵器論叢』、稲畑耕一郎監修『図説 中国文明史』3、伯仲編著『図説 中国の伝統武器』、張末元編著『漢代服飾』、戸川芳郎監修『全訳 漢辞海』第4版、等(敬称略・順不同)より作成。

後日、書き下し文を
出したいと思いますが、

これは、
その当該の文章の
一部の図解です。

また、文章の内容も、
それ程難解なものでは
ありません。

では、何故、
図解なんか描いたのか、
と言えば、

サイト制作者自身が、

当時の兵士の平均身長と
武器の長さの関係が
イメージし易かったからです。

で、あるいは、
読者の皆様の中にも、

原文の「何尋何尺」、
周尺のcm換算で、と、
やるよりも、
(それもやる予定ですが)

あるいは、こちらの方が
馴染み易い方がいらっしゃれば、
と、思った次第。

あくまで、サイト制作者の
経験則に過ぎませんが、

武器の話については、

例えば、『周礼』のような
マニュアルめいた書き物の内容と
出土品の写真との比較等の際、

字面の内容と
出土品の模写の双方を
描き起こすことで見えて来る部分が
少なからずありまして、

こういう馬鹿正直な作業で
時間を割くこととなりました。

それでも、こういう
ヘッタクソな絵につき
2週間に1枚は
描き上げたかったのですが、

要領の悪さで申し訳ありません。

2、結構ラリーな馬車行軍?!

以降は、サイト制作者の
想像と言いますか、
妄想の類の話です。

さて、武器の長さが
身長の3倍を超えると
効能に支障を来す、という、

むこうの武器関係では
有名な御話。

恥ずかしながら、
サイト制作者は、

原文を読むまでは
これが白兵戦の話だと
思っていました。

ところが、どうも、
原文の文脈からして、

行軍に支障を来す、
という御話に取れまして、

イラストの左側のような
ぶざけた構図にしました。

これについて、
以前の記事でも、

春秋時代以前の
未開拓の原野の多さや
交通インフラの悪さを
想像させる内容のもの、

例えば、原宗子先生
『環境から解く古代中国』や、
土口史記先生
「春秋時代の領域支配」等を
紹介しましたが、

『左伝』の和訳から、
それを彷彿とさせる
面白い部分を見付けまして、

折角ですので、
原文で読んでみようかと
思います。

頃は成公二(前589)年、

晋の中軍の将・
(ここでは総司令官)郤克が、

斉の頃公自らが率いる部隊を
破った後の停戦交渉の席で、

斉の使者を相手に
言い放った言葉です。

(中略)而使斉之封内尽東其苗

(中略)斉の封内をして
ことごとくその苗を東せしめよ

東(ひがしす):
東に向かって進む

また、杜預は、

使壠苗東西行
壠苗をして東西に行かせしむ。

壠:畦(あぜ)、畝

と、注釈を付けてまして、

小倉芳彦先生
「畝」という邦訳も
これに準拠してかしら。

要は、晋が斉に攻める時に
東向きに進路を取る訳で、

小倉先生によれば、

戦車(馬車)
トラクター宜しく
畝を突っ切るため
こうするのですと!

つまり、当時の
軍人の感覚として、

人が耕すような
開けた土地ですら、

戦車が通れるレベルの
幹線道路が
十分に用意されていたか
怪しい、

という解釈が出来ようかと
思います。

因みに、中略の部分は、

斉公の母親を人質に寄越せ、
という、

当時の士大夫の感覚からしても
正気の沙汰ではない要求です。

もっとも、郤克にしてみれば、

傲慢な態度を取った理由には、

以前、斉に使節として赴いた折、
この人に覗き見されて
笑われた過去があり、

その報復の機会を
窺っていた訳でして、

畝を東に向けろだの、
王様の御母堂を
人質に寄越せだのは、

さすがに、
履行されることは
ありませんで、

積もる恨みがそのまま吐露された、

謂わば、
暴言録の類と
相成ったと見受けます。

で、晋と斉の
激戦の描写も含めて、

こういう香ばしい話が
岩波の和訳の中巻の
ほとんど頭に
出て来ます。

―上巻で飽きが来たり、
本屋さんで
こういうのを立ち読みする
殊勝な読者に、

敢えて、
中巻を売り付けるための
編集側の秘策か。

その他、引用した原文の経緯も
分かり易いと来まして、
優良な和訳本の有難味を
強く感じている次第です。

さて、話が、
何だか訳の分からない方向に
飛びましたので、

武器と交通インフラについて
少し想像(妄想)しますと、

『周礼』にあるような
身長の3倍の話は、

上記の逸話のような感覚の
産物ではなかったか、と、
ふと思った次第です。

おわりに

今回は、取り留めない話につき、
要点の整理は御容赦下さい。

その他、大変恐縮ですが、

もう少々、
下手でも描いた方が良いと思う
図解がありまして、

むこう何回かは
御絵描きの回になると思いますが、

出来るだけ日を開けないよう
努力します。

【主要参考文献】(敬称略・順不同)

『周礼』(維基文庫)
小倉芳彦訳『春秋左氏伝』各巻
杜預『春秋経伝集解』
(上海古籍出版社、簡体字!)各巻
楊泓『中国古兵器論叢』
稲畑耕一郎監修『図説 中国文明史』3
伯仲編著『図説 中国の伝統武器』
戸川芳郎監修『全訳 漢辞海』第4版

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